2017年度の総務省の家計調査をみると、消費税の負担率は年収400万円未満世帯の方が1000万円以上世帯よりも2倍強になっています。16年度よりも差は開いていて逆進性は、はっきりしています。政府は消費税を福祉関係に使うと言いますが、景気が良くなった実感もない中で強行すれば、消費者の生活への圧迫は多大です。防衛予算は増えていて、消費税を上げないといけないと言われても納得できません。
今回の増税は絶対にやめるべきです。一番許せないのは弱いものいじめの税制だということです。 補助金や「軽減税率」の対象をめぐり、利権構造ができていることも恐ろしい。どれを優遇するか恣意的に決められ、抹殺もできてしまう税制だからです。「軽減」を求める業界にカネを求め、新聞には(報道の)中身を求める。新聞は批判できなくなるのではないか。ジャーナリズム業界の人間として一番の懸念です。
会員にはさまざまな議論がありますが、本協会としては10%増税は中止せよという見解です。「軽減税率」の名の複数税率で現場は混乱するだけです。お客さんがレジで「家で食べる」と言ってカップ麺とコーヒーを買い、カップ麺を店内で食べた場合、それぞれの税率はどうなるのか。こういう話がどんどん出てきます。人手不足のなか全商品の値札を一日で貼り替えないといけないのも、とんでもない話です。
国民の各分野で、今の消費不況の中で増税は許されないという声が渦巻いています。これを全国民的な声にする運動が必要です。医療の現場では、受診抑制・治療中断の事例が広がっています。生活保護受給者や非正規労働者も依然として厳しい状況です。2%の増税で4.5兆円の税収増といいますが、どれだけばく大な「経済対策」がもくろまれていることか。本末転倒であり、何としてもストップをかけなければいけません。
増税の景気対策で行う「軽減税率」は、世帯によって負担の仕方が違います。外食の割合は、単身が総世帯の4~5倍。外食か家庭食かで分けると大きな負担の差が出ます。「軽減」といってもその効果は、2人以上世帯で年収400万~450万円の場合、負担軽減割合は月945円。単身で年収200万~300万円の場合は月451円です。コーヒー1、2杯分だけです。これで「軽減」といえるのか、広く訴える必要があります。
消費税が社会保障を充実させるといわれてきましたが、そうなっていません。国民に正しい情報が伝わっていません。増税を機に消費税の問題点をアピールし、考える人を一人でも増やしたいです。いま多くの病院が赤字で苦しんでいます。都立病院も赤字が問題で、独立行政法人化が検討されています。水道の民営化と同じ方向で公的、社会的共通基盤をつぶす流れです。消費税10%ストップを、こうした流れを止めるきっかけにしたい。